それは あの頃の私の 初恋の日々 ──

Songs

あの頃好きだったこの歌ならば、 いまも残るこの想いを伝えられる。

そんな気がした

1.その一秒 スローモーション

まるで、世界が止まったように見える
そんな 恋への落ち方だった

恋に落ちる理由。

そんなの全てあとづけで、始まりはいつも一瞬だ

これから語るのは、私がまだ子供だった頃の事


そんな、だれかの「初恋」の物語

そして、忘れられない、1秒間の ”記憶” ──

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2.メルト

雨が嫌いだった

濡れる足の感覚とか、狂っていく予定とか、諸々がすべて嫌いだった。

キミとの初めての2人での外出も予報ハズレの大雨で。
そもそもキミが来ないんじゃないかという苛立ちで、それはとても酷い気分だった。

その時に、彼が「傘を忘れた」と相合い傘を頼んできたときの言葉は今でも忘れられない。

その瞬間に、ただの外出は「デート」になって、感じていた思いは「想い」になった。
私が、彼を好きだと気付いたのは、思えばその時だった。

けど、今の私は、雨が好きだ

これが「恋」なんだ
キミの声で、初めてそう気付いた

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3.恋は戦争

この恋からもう引き返せない
そう悟った日にこの曲を聞いてた ──

「恋と戦争においてはあらゆる戦術が許される」

とはいえ、口に出せないならば意味はないだろう。

募っていく想いと、たまっていく熱量が、
「この恋はもう終われない」と告げていた。


その行き場のない気持ちに気づいた朝、
聴いていたのがこの歌だった。

歌っていたのが、このうただった ──

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4.ハートブレイカー

それは高校2年の6月末、
クラス1美人なあの娘に誘われて、文化祭のバンド演奏にベーシストとして参加する事になった。

本人から誘われたのがきっかけだが、要は、片想いのあの人が同じメンバーだったのだ。


文化祭までの期間は3ヶ月。

この音楽を練習していたあの時間は、今になっても少し切なくなるくらい ──

恋 そのものだった

この恋を奏でた一夏、3ヶ月間

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5.ひねくれ者

泣いても忘れられない
そんな想いになっていた

結局言えずじまいか

それでも、嫌な思い出が残るよりゃマシだろう


終わる夏が、
敷かれていくレールが、
残された時間がないことを分からせる。


「言わなかった、言えなかった」
その時のためにどう過ごせばいい。


そのための歌が、このうただった ──


大切な君のために、私は君を嫌ったふりをした

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6.ライン

晩秋の日がそっと差した。

揺れるカーテンの隙間から、入り込む風が 残り少ない日数を教えに来ていた

やっぱり嫌いになることなんて出来なくて
言わずに去ることなんてできなくて、


私はいつもの屋上に駆けていた。

いっそ、泣きついてしまおう。泣きじゃくりながらでも、それでもこの想いは伝えたかった。

どうなってでも、私は君に「特別さ」を刻みつけたかったのだ

この歌は「サヨナラ」をさよならにしない
そのための曲

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7.初めての恋が終わる時

だからこそ、この恋は
さよならできない、
忘れられない記憶になった

最後の朝が来た。
結局、彼に何も言えないままの今日だった。

出会わなければよかった、とは今だって思わない。
彼のいる1年間がなければ、今の私は、いないと思う。


だからこそ、何もせず別れることは出来なかった。

この「恋」という巨大な感情全てを伝えることができないなら、代りになる、なにか一言を残して去りたかった。

別れの場に相応しい、美しいことばを残したかった。


願わくば、最後に一つ この言葉を ──


ありがとう。サヨナラ ──

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終わってしまった初戀に

これは、もう既に終わった恋だ。

如何に忘れられない と言っても、
思い返しても、
取り戻せない記憶に過ぎない。

けれども、やはり今でも、
“こんな恋がなければよかった ───” 
とは思わない。

「ありふれてる幸せに恋した」

仮にそれが事実でも、
それは貴方の優しさがあってこそのことだった。

それに気付いて、ようやく私は、
自身の欲しい、しあわせというものに気づけた気がする。

後悔も、
勇気の無さも、
焦がれた理由も、
立ち止まった時間でさえも。

さよなら。ありがとう。

あの日恋をしたのは、君だから ── 

この恋を抱えて前に進もうと、そう心に決めた


十年後の私より

 

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