3月9日、すなわちミクの日に、札幌で行われたボカクラでのセットリストです。
レギュレーションは「全楽曲で初音ミクが歌っていること(カバー楽曲含む)」。
もはや言うまでもない程ですが、極めて明確に「初音ミクという存在」にフォーカスしたパーティ。
こんなイベントに出演するので、今までで一番、めいっぱいに「夜琴託にとっての初音ミク」の存在を描くようなDJをしています。
四部構成で、多楽章形式の文脈DJ。
まず自分にとっての「創作」って、どうしようもないほどに"自分のもっとも脆い部分"を注ぐような行為で、だからこそ「初音ミク」を一言で言ってしまうと「ひとの悲しいって気持ちにも寄り添ってくれる楽器」だと思うのです。
うたを書く人間の、歌に込めた感情を、本人以上にその感情に乗り移って、そのままに歌ってくれるような──、
楽器だから、何も言わないけれど、それでも作家がエディタに打ち込んだそのままに、その歌声を歌うような、そんな楽器。
そんな「初音ミク」のことを描きたくて、重い感情ばっかり込めたようなロックで、ストーリー仕立てのDJをしました。
3月の札幌はまだ春は遠いので、春を待つような、そんな音楽。
「もう(まだ)来ない春のはなしと、後を追ってしまいたいと思った時に想い浮かんだとある歌声」の噺です。
Ⅰ. Presto tempestoso
「情動。あるいは或る音楽家の創作の動機」
Ⅱ. Allegretto ma maestoso
「電子音。あるいは或る歌う楽器の形象」
Ⅲ. Adagietto → Presto con anima → Andante
「刹那。そのVOCALOIDの、互いが視えたような気がした一瞬」
Ⅳ. Prestissimo → Adagio cantabile
「そして歌われたもの。あるいはその眼に視える風景」